特別な夏への反抗心

 

 

 

 

 

あっつ。

暑すぎる。何をやっても「暑い」しか浮かんでこないし何よりも頭が朦朧とする。何も考えなくて済むのはそうだけどそこにイライラも付加されるから結局ぽっかり穴が空いた不快感だけがそこにある。夏はあまり好きじゃない。

 

 

 

冷房はなんだかこんな駄目人間が使ってはいけないような気がして中々つけようと思えないんだけど、さすがに身の危険を感じるこの暑さ。まぁこのまま死ねれば楽かなとも思ったりして。こういう時でさえいつでもどこでも希死念慮は私の身体の真ん中でしたり顔して佇んでいるのか、と思うと嫌になる。

もうずっと私の生活の中心が「いつ死ねるか?どう死ねるか?」という考えなのがとっても疲れる。大好きな推しのことを考えても満たされなくなった時、ひどい空虚な空間に放り出されたような感覚になる。真っ暗な空間の中でスマホの光だけが光っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏を思い出す、

 

幼少期、旅行に行く前夜、ワクワクしながら身体より大きなバッグにたくさんの人形をつめていたこと。

 

近所の友達を呼んで手持ち花火をしたこと。全部なくなると最後にはあおいちゃんのお父さんがチャッカマンを持ってきて小さな箱に火をつけた途端、しゅわしゅわと金魚の大群が空を翔るみたいに小さく花火が打ち上がったこと。シメの線香花火は蚊に刺されて眠かったこと。

 

夏休み中2回だけ夜に食べたかき氷が特別な宝石みたいだったこと。

 

友達と少し背伸びして電車でちょっと遠いショッピングモールに行ったこと。まだ全然盛れないプリクラが甘酸っぱい思い出だった。

 

 

 

 

 

 

 

夏に戻る、

 

キラキラしているように見えたものは、歳を重ねる度に輝きを失ってゆく。過去の『特別』を今ここに立っている私が指をくわえながらみている。半分の諦めと半分の虚栄心で。

確証をもてなくなった自分の将来と、変わり果てた価値観を宙ぶらりんにして、過去の自分に慰められた気になっている。

 

 

 

久しぶりに友人と会った時、幸せなふりができなくなっていたことに気付いた。喜ぶのも笑うのも全部他の誰かが動かしてるみたいにぎこちなくそして光がなかった。友人がそれに気付いていたかはわからないけれど、自分自身がそれに気付いてしまったらもうダメなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏がある、

 

もう手元には胸が高鳴るような鮮やかな夜はないけれど、それでも私はそれを捨てることが出来ずに持ち続けている。一人蛍光灯の下で。ベッドの上で溶けながら。

 

 

たまらず叫び出しそうになった日は、

外に出て道路に寝っ転がろう。

綺麗なものなんか見なくていい、自分の薄汚れが照らされてしまうなら地べたで一緒に這いずり回ろう。

摂食で狂いそうになったら一緒に散歩しよう、何も食べなくたっていい。

イライラしたらかき氷食べよう、特別な宝石に見えなくたって美味しいものは美味しいから。

 

 

 

変な目で見られたって今この場で生きてる、それだけでいいよね。生きる意味なんてないと言われたって手持ち無沙汰でよくわからなくなるから適当に探そう、手を握って蒸し暑い夜を死にてーと叫びながら歩こう そんな夜が欲しい

 

 

 

誰に宛てるでもなく、誰かへ宛てた

自分のための夏への反抗心

 

 

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まあ、早く終わってくれ。