車窓

 

 

 

 

東京は疲れる

毎朝の気が狂うような満員電車

誰もが誰も見ていない パーソナルスペースなんてありやしない 冷房の効きすぎた車内と反比例する鬱々しい重ったるい空気

全部が全部呼吸の解像度を下げる 

 

これに慣れてしまえと強制されているかのような環境に嫌気がさす、しょうがないと片付けなくてはいけない、まだ諦めのつかない10代はやるせない

 

 

ポツポツ人が減っていく

 

周りを見渡せばみんな携帯 携帯 携帯

そりゃあしょうがないんだよな こんなクソみたいな空気が漂ってる中逃げられるのは携帯という自分だけの世界が閉じ込められた機器しか無いんだから

 

でも、すこし哀しいとも思ってしまう

 

 

 

 

 

そんな空気から逃げるようにドア際に立ち流れる景色を見つめるものの東京というのは冷酷で 等間隔に並ぶ気持ちの悪いホテル、商品片手に死んだ目で満面な笑みを浮かべる看板、人の行き交う横断歩道、ばかり

 

ああ、逃げ場がないなと感じる

 

 

 

 

 

 

ふと車内に目を戻すとひとつ先に、同じようにドア際に立ちぼうっとしている人がいる

 

こんな景色をあの人はどう感じるんだろうな、と見ず知らずの他人に少しだけ思いを馳せる

 

 

 

光が反射された目は綺麗で

汚ったない東京が他人の目の中では美しかった

 

 

 

こうやって騙し騙し生きてゆける人になりたいと、そう思った

そしたら少しだけ救われる気がしたからさ

 

 

 

 

ふと気づくと、一面の池がドア越しに浮かぶ

 

 

 

 

 

 

その瞬間

7人の鼓動のような音が流れ出した

You never walk alone、と歌うジンさんの声

 

 

 

 

その瞬間このまま死んでしまおう、と軽い気持ちになって 今日も生きた

これを読んでいるあなたもそうだといいな

 

 

 

 

 

 

 

こんな毎日の繰り返し